快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

小川高義

べつの言葉によって自らを変容させていく試み 『べつの言葉で』(ジュンパ・ラヒリ著 中嶋浩郎 訳)

人は誰かに恋をすると、永遠に生きたいと思う。自分の味わう感動や歓喜が長続きすることを切望する。イタリア語で読んでいるとき、わたしには同じような思いがわき起こる。わたしは死にたくない。死ぬことは言葉の発見の終わりを意味するわけだから。 『停電…

ただの「ええ話」ではなかったO・ヘンリー 『最後のひと葉』(小川高義訳)『1ドルの価値/賢者の贈り物』(芹澤恵訳)

さて、先日の『月と六ペンス』に続いて、今度はO・ヘンリーの『最後の一葉(ひと葉)』をまた複数の訳で読んでみた。 最後のひと葉―O・ヘンリー傑作選II―(新潮文庫) 作者: O・ヘンリー 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/04/29 メディア: Kindle版 …

フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(『グレート・ギャッツビー』)を読みくらべてみた

先日、カフカの『変身』が、訳によってがらりと雰囲気が変わると書いたけれど、村上春樹訳で読んだ『グレート・ギャツビー』を小川高義訳で読んでみたら、また印象が変わっておどろいた。(ちなみに小川高義訳の光文社古典新訳の方は『グレート・ギャッツビ…