快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

読書会

救いのない人生で見出したものとは? 『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット・ジュニア 著 浅倉久志 訳)

かつてウィンストン・ナイルズ・ラムフォードは、火星から二日の距離にある、星図に出ていない、ある時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)のまっただなかへ、自家用宇宙船で飛び込んでしまったのである。彼と行をともにした…

不条理とユーモア、そして生と死が融合するエドガル・ケレットの世界 『あの素晴らしき七年』(秋元孝文 訳)『突然ノックの音が』(母袋夏生 訳)

自己嫌悪としてのユダヤ人としてのわが息子……「もう十分じゃないかしら?」妻がぼくの妄想に割り込む。「可愛い可愛いあなたのボクちゃんに向けるヒステリックな非難を夢想するかわりに、なにか役に立つことをしたら? おむつを替えるとか」「オッケー」とぼ…

名古屋で犬三昧 『その犬の歩むところ』『約束』読書会&はしもとみお『木彫り動物美術館』

というと、なんだか犬を食したようですが、そうではなく、以前紹介した『その犬の歩むところ』といった”犬本”をテーマにした読書会が名古屋で開かれたので、日帰りで参加してきました。 まずは、読書会の前にも犬を補給しようと、新栄のヤマザキマザック美術…

「死ねばいいのに」という思いのはてに――『ずっとお城で暮らしてる』(シャーリー・ジャクスン 市田泉訳)

あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。十八歳。姉さんのコンスタンスと暮らしている。運さえよければオオカミ女に生まれていたかもしれないと、何度も考えたことがある。なぜってどちらの手を見ても、中指と薬指が同じ長さをしているんだもの。だけ…

サバービアで生きる女たち――『キャロル』(パトリシア・ハイスミス)@読書会に行ってきました 

さて週末は、前にもここで紹介した『キャロル』の読書会に行ってきました。 訳者の柿沼瑛子先生をはじめ『キャロル』の映画を5回以上見たという方も何人かいらっしゃって、みなさんの愛と熱意があふれる会になりました。 柿沼先生はゲストとして参加してくれ…

匿名の住民たちが恐怖に陥る、街を描いたサイコ・スリラー――『九尾の猫』 エラリイ・クイーン

前回の『十日間の悲劇』で探偵を辞めると固く決心したエラリーだったが、地元ニューヨークで連続殺人事件が発生する。被害者たちには一見なんの共通項もなく、無差別殺人かとニューヨークの住民たちは震撼する。父親のリチャード警視から捜査に協力するよう…

スペンサーは自立したタフな男でした 『初秋』 ロバート・B・パーカー

読書会の課題本だったので、ロバート・B・パーカーの『初秋』を読みました。 初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ) 作者: ロバート・B.パーカー,菊池光 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1988/04 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 200回…

〈奇妙な味〉って? 18の奇妙な物語 『街角の書店』

街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫) 作者: フレドリック・ブラウン,シャーリイ・ジャクスン,中村融 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2015/05/29 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (10件) を見る わたしは目覚めている。そして、わたしの夢…

女の幸せって…?? その3 『ストーナー』 ジョン・ウィリアムズ

ストーナー 作者: ジョン・ウィリアムズ,東江一紀 出版社/メーカー: 作品社 発売日: 2014/09/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (20件) を見る しつこく「女の幸せって…??」と考えてきましたが、どうして『ストーナー』が「女の幸せ」と関係あるの…

『災厄の町』 エラリイ・クイーン

災厄の町〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: エラリイ・クイーン,越前敏弥 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/12/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る ハヤカワ文庫から出たエラリイ・クイーン(角川ではエラリーという表記…

マット・ヘイグ『今日から地球人』

今日から地球人 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: マットヘイグ,Matt Haig,鈴木恵 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2014/11/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (6件) を見る はるかかなたの遠い宇宙の星から、地球に派遣された高度な知的生命体であ…