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快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

まだまだ頑張りたい女たちへ――『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』 ジェーン・スー

 それにしても最近のニュースを見ていると、ゲスな男にも上には上がいるもんだな、とつくづく感じてしまいます。
 ちょうどいま、ケーブルTVで「Sex and the City」の再放送をしているけれど、主人公キャリーのこのつぶやきに思わず考えこんでしまう。

What if Prince Charming had never showed up?
――もし王子さまがあらわれなかったとしたら?
I couldn’t help but wonder:
inside every confident, driven single woman, is there a delicate, fragile princess just waiting to be saved?
――どんなに自信満々で強気なシングル女性でも、心の奥では、かよわきお姫さまが王子さまに助けられるのを待っているのだろうか? 

 そこでちょうどこの本を読みました。 

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

貴様いつまで女子でいるつもりだ問題

 

  そうそう!と思わず口に出してしまいそうなくらい、納得できることが多かったけれど、一番共感したのは、意外にも「女子問題」のところよりも、仕事について書かれた「とあるゲームの攻略法」の章だった。さまざまな業界で働いてきた作者が、身体で学んだ「仕事の方法」を惜しみなく披露している。


 まず、二十代の頃、一緒に働いていた女性たちが、どんどんと結婚して主婦になったり、「自分のペースで働ける仕事」に移り、第一線から退いていくことについては、こう記す。

 彼女たちをこちらの価値観で判断するのが下劣だということぐらい、私もわかっています。まぁ、気楽でいいなーと思ったりすることがないとは言えませんが。

批判するわけでもなく、味方をするわけでもない、このスタンスに地の底くらい深く共感する。一方、男はどんなに勤労意欲が低くても仕事を続ける。続けざるを得ない。仕事を続けるのが難しい女性と、仕事を辞めることができない男性。どちらが不幸なのか? わからない。いや、どちらも不幸なんでしょう。


 で、作者はそんな男ゲーマーと仕事するうえでの処世術を教示し、「特に55歳以上の男ゲーマーは要注意」と書き、なぜなら「彼らの仕事プライドは、彼らの人格と直結していると私は思っています。絶対に踏んではいけない地雷です」だから。仕事上(やむなく)接するときには

まず敬意を払う。そしてこちらの不注意や不勉強を、大げさに表明します。すると「仕方がないな……」というテンションで、彼らはようやくこちらの意図を汲む。いちいち相手に花を持たせるのは気絶しそうになるほど面倒ですが、いまのところこれが一番確実です。

  とあり、「これって、めんどくさい女の先輩(いわゆるお局)に接するときと完全に同じだ!」と叫びそうになりました。いや、いま私は「女の職場」みたいなところで働いているのですが、ほんと上記の方法は必須です。

 つまり「主導権や決定権は既得権益だと思っている相手。」いますね。いや、実際のところ、私はそこまで厄介な人の相手をしたことはないけど、長く働いていると、こういう人を多く見聞きします。職場の人間関係もいろいろ難しいが、肝心なのは

信頼関係が築かれていない相手に正論を吐いて、襟を正して貰えた試しがないからです。 

  これもほんと正しいので、正面からぶつからずに、うまくやりぬくしかない。正論問題は、ヘイトスピーチとかフェミニズムの問題にも通じるものがありますね。
 

「そんなに頑張れない!」という働く女には、そんなに頑張らなくてもいいんだよ、と既に誰かが言ってくれていると思うので、そちらの意見を参考にしてください。(略)
 私がここで併走したいのは、頑張っているし、まだまだ頑張りたいけど、どうにも行き詰りそうな予感がしてならない女たち。 

  ここも力づけられた。「頑張る」というのは難しい言葉で、この上野千鶴子のインタビューにもあるように

toyokeizai.net

わけのわからない「女性の活躍」なんぞを押しつけられて、国の経済のために働いて、子供も産めと頑張らさせられるのは、誰だってまっぴらごめんだ。
 でも、やはり、自分のためには頑張りたいのだ。いや、頑張るっていう言葉より、自分の思いどおりに好きなことをするという定義の方がふさわしいかもしれない。


 あと、この本で書かれているように、インカムソースを複数持つことや、頼る相手を複数持つことも(直属の上司だけでなく他部署の上司なども)重要ですね。わかっているけど、これがなかなか難しい。
 たしかに、恋愛でもなんでも早々にひとつに絞ってしまうと、「これを逃したら後がない!」とすがりつき、視野狭窄に陥ってよけいにうまくいかなくなる。下手したら、相手が結婚しているのに、うっかり実家までついていってしまったり、ツイッターに「私の彼氏をとらないで」なんて書いてしまったりする(いや、彼女たちを応援しています。はやく立ち直ってほしい)。よーくわかっている。

 どんなものであれ、複数確保するには自分自身にキャパが必要だ。まず単純に時間が必要だし、言うまでもなく能力(恋愛なら魅力)も必要だ。
 そう、もっともっといろんな仕事がしたいし、でも恋愛も捨てているわけではない……こんなにあれもこれもって思うのは欲張りかな? いや、女はもっともっと貪欲になっていいはず。
 冒頭にSATCを引用したのにかかわらず、おもに仕事の話になってしまいましたが、この本の「女子問題」についてはまたそのうち。