快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

またまた最新号『暮しの手帖 84号』を買いました

 さて、「とと姉ちゃん」も終わりましたが、『暮しの手帖』の最新号84号を買いました。 

暮しの手帖 4世紀84号

暮しの手帖 4世紀84号

 

  前号に続いて、高山なおみさんの引っ越しの記事が興味深い。夫スイセイ氏との「ふたりきりの小宇宙」のように見えていた(少なくとも、かつてのクウネルなどの記事からは)生活から、いきなり神戸に単身で転居するとはどういうことだろう? と勝手に疑問に思っていたのですが、今回の記事を読むと、なんとなくわかった気がした。

「わたしはアンバランスででこぼこで、人と同じようにできないことに引け目を感じてきたけれど、まあ、それもありか、というような。もう若くない体も、自分のでこぼこさ加減も、いまは目をそらさずに見つめながら年をとれそうな気がするの」 

  この言葉が深く心に染みいった。でも、六甲山を望むメゾネットマンションって、関西人からすると、憧れの住まいですね。

 連載「気ぬけごはん」の「ウズベキスタン風肉じゃが」もおいしそうだった。トマトとじゃがいもをじっくり煮込む、フランスのポトフのもののようだ。ウズベキスタンの田舎の民宿の情景も素敵です。旅行記も読んでみたくなった。 

ウズベキスタン日記: 空想料理の故郷へ

ウズベキスタン日記: 空想料理の故郷へ

 

  まあ、おいしそうだったと言っても、正直めったに料理をしないので(作るとしても、焼くだけとか炒めるだけとか)、これも作ることはないと思うが、そんな私でも、土井善晴さんが連載「汁飯香のある暮らし」で、

キッチンに向かうみなさんの気持ちが少しでもラクになって、「料理って楽しいな」と感じられるようなことを毎回ひとつずつお伝えできればいいなと思っています。 

と言っているのを読むと、なにか作ってみようかなという気になった。テレビに出ているのを見ると、料理人のくせにいつもようしゃべるな~という印象しかなかったが。
 今回のテーマは味噌汁で、おいしい味噌を溶くだけでもおいしくなるので、出汁を取らなくてもいいし、具はなにを入れてもいいとのこと。この自由さ、気軽さが好ましい。インスタントの味噌汁の毎日から脱出できるだろうか……


 しかし、この号の、「炒め物上手になる」という記事にあるような「キャベツを切って洗って、サラダスピナーで水気をとばす」などの説明を読むと、サラダスピナー?? そんなん持ってへんねん、と一瞬やる気が失せるが、キッチンペーパー(なければそれこそタオルでも新聞紙でも)で拭くとか、なんなら、水気があったって気にしないみたいな柔軟性のある精神が必要なんでしょうね、料理をするには。


 あとは、森達也監督がコラムでネコロスについて書いていたのと(前号の岸政彦さんに続いて、ネコ話は必須ですね)、「読者の手帖」のコーナーで、投稿者が、60年ほど前に大阪の関目で取材に来ていた大橋鎭子さんと花森安治さんに会ったというのが印象深かった。関目まで足を運ぶって、さすが名物編集者ですね。上品そうなワンピースを着た鎭子さんと、サファリジャケットにスカートをはいた花森さんは、まさに「へんてこりん」な二人だったそう。
 
 そういえば、ドラマで「花山さん」を演じていた唐沢寿明は、たまにスカートをはいたりしていて頑張っているようだったが、結局髪型は決しておかっぱにせず、あのトレンディな「唐沢ヘア」はの不動のままだった。やはりこだわりがあるのだろうか。


 けどほんと、ドラマの「とと姉ちゃん」は、『暮しの手帖』に一生を捧げた鎭子さんがモデルということで、もっと応援したり共感できるドラマになると予想していたが、そうでもなかったのは、一体どういうわけだろう?? 
 
 やはり「家族のために(会社を興し、恋愛も諦め)」という美談要素ばかり強調されて、主人公がこの雑誌をどれくらい愛しているのか、どういう思い入れがあるのかがイマイチ伝わらなかったからかなーと思う。「家族のため」ではなく、「自分が好きでやりたいことをやっている」という方がよっぽどいいと私は思うけれど、これでは世間の支持は得られないのだろうか?