快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2018年 こりゃ読まなあかんやろブックリスト

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 すっかり年もあけました。こちらの門松は、大阪のフェスティバルタワーのものです。ここから歩いて初詣へ……

 

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 堂島のジュンク堂本店の裏にある、堂島薬師堂へ。あらためて見ると、ほんと奇抜なお堂だ。
 というわけで、年末年始休暇も終了。ちなみに、家の近所のブックオフに行ったら、外国人作家のコーナーにジェーン・スーが入っていた。


 年頭なので、2018年に読みたい本、いや、読みたいというか、こりゃ読まなあかんやろ、という本をリストアップしてみました。


 まず、翻訳ミステリーシンジケートのサイトで、第九回翻訳ミステリー大賞候補作が発表されました。

honyakumystery.jp

『嘘の木』『その犬の歩むところ』『ハティの最期の舞台』『東の果て、夜へ』(このタイトルを見るたびに、『夜の果て、東へ』とつい思ってしまい、頭のなかで入れ替えるという作業をくり返してしまう)『フロスト始末』というラインナップ。

 これまで「1冊も読んでいない……」という年もあったけれど、今年は前に紹介したように、"その犬"と"ハティ"は読了済。どちらも選ばれたことに異存のないおもしろさでした。が、どちらも「謎解き」の要素は薄いけれど、、、けどよく考えたら、去年大賞をとった『その雪と血を』も「謎解き」ではない。


 で、前から気になっていた『嘘の木』(フランシス・ハーディング 著 児玉 敦子 翻訳)が選ばれていたので、はよこれ読まなあかん!と思いました。 

嘘の木

嘘の木

 

  まだ科学が宗教や迷信と対立していた19世紀を舞台に、リケジョ(←死語 まだ使ってる人いそうだが)が、牧師であり博物学者でもあった父の死の謎を解き明かすという、もともとヤングアダルト向けに書かれた謎解きファンタジーらしい。
 ヤングアダルトといっても、このあらすじだけでも、科学と宗教、あるいはジェンダーについていくらでも考察できそうなので、もう実際に読んでみるしかない。


 そして、最終候補作には選ばれていないが、外せないのが陳浩基の『13・67』(天野健太郎 翻訳)。 

13・67

13・67

 

香港ミステリー、いや中国語圏ミステリーの傑作という評判だけでもじゅうぶん気になるのに、私の尊敬している高野秀行さんが正月早々から

陳浩基『13・67』(文藝春秋)、残りの中篇2本を読み終える。どちらも超絶面白かった。というか、この本は私がこれまでの人生で読んだミステリの中でもベスト3に入るんじゃないか。

本書は2018年に私が読んだミステリ第1位になるだろう。まさか元日にベストを読んでしまうとは。

とまで絶賛しているので、こりゃなにがあっても読まなあかん!!と、私のなかでアラームが鳴りました。


 ミステリー以外では、渡辺由佳里さんの洋書ファンクラブでの「2017年 これを読まずして年は越せないで賞」の候補作一覧を見ていたところ、

youshofanclub.com

まず『Eleanor Oliphant Is Completely Fine』に心ひかれた。早々に翻訳も出ている――『エレノア・オリファントは今日も元気です』(ゲイル ハニーマン 著 西山 志緒 翻訳)。 

Eleanor Oliphant is Completely Fine: Debut Bestseller and Costa First Novel Book Award shortlist 2017

Eleanor Oliphant is Completely Fine: Debut Bestseller and Costa First Novel Book Award shortlist 2017

 

 

エレノア・オリファントは今日も元気です (ハーパーコリンズ・フィクション)

エレノア・オリファントは今日も元気です (ハーパーコリンズ・フィクション)

  • 作者: ゲイルハニーマン,西山志緒
  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ ジャパン
  • 発売日: 2017/12/16
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

  翻訳本の可愛らしい表紙からは、ドジでお茶目な(これこそまさに死語だが)若い女性の主人公が、恋や仕事に悩んだりする話かと思ってしまうが、そんなチャーミングな小説ではまったくないらしい。

 アマゾンの紹介文には「独身30歳、友達なし、恋人なし。話し相手は毒母と観葉植物――」と書いてあり、これでもまだ、女性向けの小説によくあるパターンかな?と思えなくもないが、渡辺由佳里さんの評で「読者が最初に出会うEleanorは、嫌な女でしかない。他人に手厳しく、同情のかけらもない。職場で嫌われているのも当然だと思う」と、はっきり「嫌な女」と書かれているので、読まなあかんスイッチが入った。


 あと、Celeste Ng(翻訳ミステリー大賞シンジケートのページでは、「セレスト・イン」と表記されてますね)の『Little Fires Everywhere』も選ばれていて、考えたら、作者の前作『Everything I Never Told You』を以前にkindleで購入したことを思い出し、年末年始にまずは『Everything I Never Told You』を読んでみた。 

Little Fires Everywhere: The New York Times Top Ten Bestseller (English Edition)

Little Fires Everywhere: The New York Times Top Ten Bestseller (English Edition)

 

 

Everything I Never Told You (English Edition)

Everything I Never Told You (English Edition)

 

  『Everything I Never Told You』については、またあらためて感想を書こうかと思うけれど、まあとにかく、親が自分の夢を子どもに押し付けるのは禁止!ダメ!ゼッタイ!!と、覚せい剤禁止を訴えるくらいの勢いで伝えたくなる小説だった。

 で、今作の『Little Fires Everywhere』も同様に、家族の問題と人種差別を扱い、渡辺由佳里さんの評によると、「アメリカのリベラルが持つある種のナイーブさというか、見当違いな独善性」(「見当ちがいな独善性」って、アメリカに限らず、あるある!って思いますね)を描いているらしく、やっぱ読まなあかんと心に刻みました。

 あとは、私のなかで「2017年 こんな御仁だったのか大賞」を受賞した、パク・ミンギュの『ピンポン』に『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』も読まなあかんし、(『ピンポン』は「はじめての海外文学」の推薦本リスト vol.3でも、岸本佐知子さんなど多くの人から選ばれていた) 

ピンポン (エクス・リブリス)

ピンポン (エクス・リブリス)

 

 

三美スーパースターズ 最後のファンクラブ (韓国文学のオクリモノ)

三美スーパースターズ 最後のファンクラブ (韓国文学のオクリモノ)

 

 そのうえ、柴田元幸さんが訳した『ハックルベリーフィンの冒けん』といった古典ものまで挙げていったらキリがない… 

ハックルベリー・フィンの冒けん

ハックルベリー・フィンの冒けん

 

 ……というか、なんといっても、2017年必読のはずだった『騎士団長殺し』をいまだ読んでいないのだ。まずは『騎士団長殺し』から読んでみるべきだろうか? 

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編

騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編