快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ワンダーでひとりぼっちのアリスとキャロル 『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル

さて、アリスというと、どのアリスを思い浮かべるでしょうか? やはり、このオリジナルのものがもっとも有名でしょうか? 不思議の国のアリス (角川文庫) 作者: ルイス・キャロル,河合祥一郎 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング) 発売日:…

奇想とシビアの現実とのぬきさしならない関係 『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』 ジュディ・バドニッツ

ジュディ・バドニッツというと、すごい奇想を描いている作家と思っていたが、この『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』を読むと、ただ現実離れした設定を綴っているのではなく、物語の背後にどっしりとシビアな現実が根ざしているのを感じられた。 元気で大き…

台湾文学事情 誠品書店にて

さて、台湾は高雄にも行きました。 (写真に知らない人たちが映っていますが、まあ問題ないでしょう…)龍から入って、虎から出るのですが、出る時には虎の牙を握らないといけない。と、後ろにいた、日本人団体客のガイドの説明を盗み聞いて、あわてて自分も…

台湾で『世にも奇妙なマラソン大会』(高野秀行)を読む

ということで、台湾にやってきました。 ちなみに、ネットで日本のニュースを見ると、少し前まではショーンK一色だったように思いますが、昨日は桂文枝の全裸写真が愛人によって流出させられたと知りました。そして今日は、中村ゆうじが大食いの司会を降りる…

『生き延びるための世界文学』(都甲幸治)、そしてトークイベントに行って

さて、先日の日曜は、東京国際文芸フェスティバルのイベントの一環でamu KYOTOで行われた都甲幸治さんと江南亜美子さんのトークイベントに参加してきました。 今回のお話もまたどこかに収録されるかもしれないので、どこまで詳細を書いていいのかわからない…

恋愛によって成長することは可能なのか? 『キャロル』  パトリシア・ハイスミス

今はただキャロルの声が聞きたかった。それ以外に大事なものなど何もない。キャロル以外に大事なものなんて何もない。なぜ一瞬でもそれを忘れていたのだろう。 さて、今年の課題図書の1冊『キャロル』を読みました。 キャロル 作者: パトリシア・ハイスミス …

翻訳小説という新しい愉しみへの誘い 『翻訳百景』  越前敏弥

もしこの世に翻訳小説がなかったら―― 外国の事物や風習、そこで暮らす人々の気持ちをどれだけ理解することができるだろうか? 文化や考え方の違いを理解したり、あるいは、どんなに環境が変わろうとも、人の気持ちはさほど変わらないことを実感することがで…