快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

40代の自分探し 映画『ヤング・アダルト・ニューヨーク』

さて、『フランシス・ハ』に続いてのバームバック監督作品、ベン・スティラーとナオミ・ワッツ主演と聞いて楽しみにしていた『ヤング・アダルト・ニューヨーク』を見てきました。 ベン・スティラー演じるジョシュは44歳のドキュメンタリー映画監督であるが、…

『暮らしの手帖』最新号、そして『断片的なものの社会学』(岸政彦)

なんだかんだ言いながら、「とと姉ちゃん」を見ているので、創刊号の復刊版が付録についた、今月号の『暮らしの手帖』も買ってしまった。 暮しの手帖 4世紀83号 出版社/メーカー: 暮しの手帖社 発売日: 2016/07/25 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る…

愛がつまった罐詰のような一冊 『孤独な夜のココア』 田辺聖子

あの恋は、私の心の中では、愛の罐詰にされていた。しかし、それは、空気の罐詰といっしょで、あけてみても、何も見えず、何の音もしないものかもしれなかった。ただ何かが詰っている。そしてそれは罐詰になっている、ということしか、わからないのだった。 …

王子様なんてぜんぜん必要ないシンデレラ 『靴を売るシンデレラ』(ジョーン・バウアー著 灰島かり訳) 

先週の水曜、午後休とったので、映画『ブルックリン』でも見に行こうかなーと思い、10分前くらいにTOHOシネマズ梅田に行ったら、なんともう完売していた。きっと原作を先に読めってことなのかな… ブルックリン (エクス・リブリス) 作者: コルムトビーン,栩木…

もしかして、この国は沈没しつつある? 『ニッポン沈没』 斎藤美奈子

今月号の筑摩書房のPR誌『ちくま』を読んでいると、斎藤美奈子の「世の中ラボ」が参院選を取りあげていて、 安倍政治はもうたくさん。私も野党側に勝ってほしいと切に願っている。なんだけど、ほんとに勝てるかとなると「今度もダメなんちゃう?」という疑念…

ぶかっこうな女の子のぶかっこうな恋愛 『エレナーとパーク』(レインボー・ローウェル著・三辺律子訳)

今週のお題「わたしの本棚」ということなのでーー 転入生の女の子は深く息を吸いこむと、通路を歩きはじめた。だれもそっちを見ようとしない。パークも見ないようにしたけど、だめだ、列車事故が月蝕かって感じ。目が引付られる。 転入生は、まさにこういう…

いったいどうしたらこの苦しみのラビリンスから抜け出せるのか? 『アラスカを追いかけて』(ジョン・グリーン著 伊達淳訳)

100日前――「もう何回も聞かれてウンザリかもしれないけど、でもどうしてアラスカなの?」……「あたしの七歳の時の誕生日プレゼントが、自分で名前を決めていいってことだったわけ。なかなかステキな話でしょ? だからあたしは本当にカッコいいって思える名前…

『解錠師』とはまた違う世界を切り開いた スティーヴ・ハミルトン『ニック・メイソンの第二の人生』 (越前敏弥訳)

「だが聞け」コールは言った。「口を開く前にな。わたしが言うことをしっかり頭に入れろ。だれの言いなりにもならないというきみのご託だが、あれはもう終わりだ。これからは新しい考え方をしてもらう。わたしと契約すれば、この先の二十年、きみはここにい…