快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

理不尽な社会で愛は存在するのか? 『ヒトラーの描いた薔薇』(ハーラン・エリスン 著 伊藤典夫・他 訳)

その都市の地下には、またひとつの都市がある。じめじめした暗い異境。下水道をかけまわる濡れた生き物と、逃れることにあまりにも死にもの狂いのため冥府のリステックスさえも抑えきれぬ急流の都市。その失われた地底の都市で、ぼくは子どもを見つけた。 『…

救いのない人生で見出したものとは? 『タイタンの妖女』(カート・ヴォネガット・ジュニア 著 浅倉久志 訳)

かつてウィンストン・ナイルズ・ラムフォードは、火星から二日の距離にある、星図に出ていない、ある時間等曲率漏斗(クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム)のまっただなかへ、自家用宇宙船で飛び込んでしまったのである。彼と行をともにした…

虚実入り乱れるメタ時代劇? 松尾スズキ作 『ニンゲン御破算』(阿部サダヲ主演)森ノ宮ピロティーホール

さて、ヴォネガットの本を読んでいる合間に、大人計画『ニンゲン御破算』を見てきました。そういえば、松尾スズキもヴォネガットに影響を受けたとよく語っているのでつながっているとも言える。 ↓絶賛CM中のキンチョーからも花が来ていた。長澤まさみはなん…

再び、いまヴォネガットが生きていたら…… 『現代作家ガイド カート・ヴォネガット』(伊藤典夫・巽孝之ほか)

あらゆることが政治化されてしまった今日では、例えばオリンピックを廃止しようというのならそれで結構。別に残念だとも思いませんよ。どの道、オリンピックはばかばかしいくらいに政治的で、国家主義的なものですし。みっともない。 やっぱりあのひとの言っ…