快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2021-05-01から1ヶ月間の記事一覧

人間は差別心を手放すことができるのだろうか? 1964年に人種差別を描いた、有吉佐和子『非色』

有吉佐和子『非色』を読みました。 非色 (河出文庫) 作者:有吉佐和子 発売日: 2021/02/19 メディア: Kindle版 1964年に発表されたこの小説は、黒人差別を扱っていることが問題視され、絶版になっていたらしい。しかし、Black lives matter運動の盛りあがりに…

三十年経ったいま、不思議な軽やかさを持ったフェミニズム小説として読めた『後宮小説』(酒見賢一)

先月の800字書評の課題本は、酒見賢一『後宮小説』でした。 後宮小説(新潮文庫) 作者:酒見 賢一 発売日: 2014/08/01 メディア: Kindle版 『後宮小説』は、1989年に日本ファンタジーノベル大賞第一回受賞作品に選ばれて大きな話題となり、のちに『雲のよう…