快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『ストーナー』の訳者が遺した翻訳への愛と情熱、そして脱力ギャグ 『ねみみにみみず』(東江一紀 著 越前敏弥 編)

さて前回、第四回日本翻訳大賞が決まったと書きましたが、第一回読者賞を受賞した『ストーナー』の翻訳家、東江一紀のエッセイ『ねみみにみみず』を読み、ほんと翻訳家はエッセイがうまいひとが多い、とつくづく思った。 ねみみにみみず 作者: 東江一紀,越前…

大きな選択を迫られるとき――『ピンポン』(パク・ミンギュ 著 斎藤真理子 訳)『マレ・サカチのたったひとつの贈物』(王城夕紀)

さて、第四回日本翻訳大賞が『殺人者の記憶法』と『人形』に決まりました。『殺人者の記憶法』は前にも紹介したように、原作も映画もおもしろかったので納得。 『人形』はポーランドで人気の小説らしいが、手をつけるにはかなり気合のいる長さのよう。いや、…

滑稽な人間の生について考えてみる 『深い河』(遠藤周作 著)『今日はヒョウ柄を着る日』(星野博美 著)

手元にないのでうろ覚えだが(実家にあるはず)、学生時代に読んだエッセイ『佐藤君と柴田君』で、親が古びてきたので病院に通っていると柴田さんが書いていて、そのとき「そうか、親って古びるものなんだ」と思った記憶がある。 佐藤君と柴田君 (新潮文庫) …

傷つけられた者たちの「自立」と「再生」の物語 『なぎさ』(山本文緒 著)

妹が突然電話してきたのは三日前だった。しばらく会いたくないし声も聞きたくないから連絡しないでくれ、とはっきり言われたのは、ここに越して来る前のことなので何年も前だ。仕方ないことだと納得した私は、それから転居通知をポストに入れただけでまった…

音楽が聞こえる本ブックガイド BOOKMARK11号 村上春樹による『バット・ビューティフル』紹介文もあり

前回、次は山本文緒の『なぎさ』の感想を書くといいましたが、BOOKMARK 11号 "Listen to Books" を読んだところ、勝手に便乗して、音楽が聞こえる本を選びたくなりました。 そう、なんといっても村上春樹が巻頭エッセイを書いていることが話題になっている、…