快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

それぞれの作品が呼応する、意義深いアンソロジー 『世界文学アンソロジー いまからはじめる』(秋草俊一郎ほか編)

アンソロジーって何だろう? 一般的には、さまざまな物語(おもに短編)を集めて一冊にしたものという印象だろうか。スーパー大辞林では、「一定の主題・形式などによる、作品の選集。また、抜粋集。佳句集。詞華集。」と定義されている。goo辞書では「いろ…

「不逞」に戦い続けること 『何が私をこうさせたか』(金子文子著)『三つ編み』(レティシア・コロンバニ 著 齋藤可津子訳)

文体については、あくまでも単純に、率直に、そして、しゃちこ張らせぬようなるべく砕いて欲しい。ある特殊な場合を除く外は、余り美しい詩的な文句を用いたり、あくどい技巧を弄したり廻り遠い形容詞を冠せたりすることを、出来るだけ避けて欲しい。 前回の…

「私自身」であるために戦った女たち 『女たちのテロル』(ブレイディみかこ 著)

「僕はつまらんものです。僕はただ、死にきれずに生きているようなものです」朴は岩のようにひんやりした、しかし厚みのある声で言った。私たちは同類だと文子は思った。死にきれなかった犬が二匹。我ら、犬ころズ。相手に不足はない。こうして二人のアナキ…