快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

イノセンスの行く末 『ブライヅヘッドふたたび』 イーヴリン・ウォー

前に書いた『街角の書店』に続いて、イーヴリン・ウォーを読もうと思い、ついに代表作『ブライヅヘッドふたたび』を読みました。 想像していたよりすごく読みやすい話でさくさく進み、読了後、まずはざっくりと下記のような感想を抱きました。(物語の結末ま…

雷の音に耳をすまして 『赤い山から銀貨が出てくる』 小沢健二 (『MONKEY vol.6』より)

前回書いたあと、たまたまテレビをつけたら、松尾スズキと田口トモロヲが対談していた。 松尾さんも、カート・ヴォネガットから大きな影響を受けたと常々語っている。ペンネームを魚の名前にしたところも、キルゴア・トラウトからきているのかもしれない。 …

人生に影響を与えた一冊 『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』 カート・ヴォネガット・ジュニア

「ぼくは、この見捨てられたアメリカ人たちを愛していきたい――たとえ彼らが、役立たずで、なんの魅力もなくてもね、それがぼくの芸術ってわけさ」“I’m going to love these discarded Americans, even though they’re useless and unattractive. That is goi…

完璧に清潔で安全で心優しきセカイへの戦い 『ハーモニー』 伊藤 計劃

そう、ミアハの言うとおりだ。だからこそ、わたしたちは死ななければならない、と感じていた。命が大事にされすぎているから。互いに互いを思いやりすぎているから。 ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) 作者: 伊藤計劃 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/12…

勝手に犯人推理 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 村上春樹

下記からは、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の内容にふみこんでいるので、“ネタバレ” が嫌なひとはお気をつけください。 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2013/04/12 メディア: …

『女のいない男たち』 村上春樹 (おまけの感想)

前回の追加というか、『女のいない男たち』を読んで思った、よしなしごとをメモしておきます。まず、この本には村上作品には珍しくまえがきがあり、 長編小説にせよ短編小説集にせよ、自分の作品にまえがきやあとがきをつけるのがあまり好きではなく(偉そう…

男と女は永遠の回り道? 『女のいない男たち』 村上春樹

女のいない男たちになるのはとても簡単なことだ。一人の女性を深く愛し、それから彼女がどこかに去ってしまえばいいのだ。 女のいない男たち 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2014/04/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (104件) …

女子パワーみなぎるぶっ飛んだブックガイド 『読み出したら止まらない! 女子ミステリー マストリード100』 大矢 博子

読み出したら止まらない! 女子ミステリー マストリード100 (日経文芸文庫) 作者: 大矢博子 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社 発売日: 2015/08/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 少し前に出た、杉江松恋さんによる『読み出したら止…

だれにも愛されなかった男の顛末 『心地よい眺め』 ルース・レンデル

心地よい眺め (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) 作者: ルースレンデル,茅律子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2003/08/07 メディア: 新書 クリック: 7回 この商品を含むブログ (5件) を見る だれにも関心を持ってもらえない環境で育った青年テディは、人…