快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

真の「敵」とはなんだったのか? 戦争を描く難しさ――『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬)

今月の書評講座の課題書は、直木賞候補にもなった話題作、『同志少女よ、敵を撃て』でした。 同志少女よ、敵を撃て 作者:逢坂 冬馬 早川書房 Amazon 激化する独ソ戦を舞台としたこの物語は、主人公セラフィマの村に突然ドイツ兵があらわれる場面からはじまる…

お金と「私だけの部屋」への困難な道のり――『母の遺産:新聞小説』(水村美苗)

先月の書評講座の課題書は、水村美苗『母の遺産:新聞小説』でした。 母の遺産 新聞小説(上) (中公文庫) 作者:水村美苗 中央公論新社 Amazon ママ、いったいいつになったら死んでくれるの? と、ドキっとする言葉がコピーとなっているこの小説では、亡くな…

2022年を生きのびるための1冊――『これは水です』(デヴィッド・フォスター・ウォレス 阿部重夫訳)

2022年になりました。あけましておめでとうございます。正月といっても、ふだんと何も変わりはしないけれど……と思いつつ、去年から積読していた、デヴィッド・フォスター・ウォレス『これは水です』をふと手に取ったところ、年末年始でぼんやりしていた目が…