快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

北田絵里子

生と死のあいだに忍びこむ闖入者との奇妙な邂逅ーー『夜が来ると』 フィオナ・マクファーレン

オーストラリアの海辺でひとり暮らしをしている75歳のルースが、朝の4時に目を覚ますと、そこにはトラがいた。いや、トラそのものを見たわけではない。けれど、やはりトラはいたのだ。「低くざらついた呼吸音に、威嚇するような小さな鋭い吠え声」がたしかに…