2017-01-01から1年間の記事一覧
お題「年末年始に見たもの・読んだもの」 さて、きょうは大晦日。 というわけで、なんとしてでもこれを読まないと年を越せん!! と思っていた、松浦理英子の新刊『最愛の子ども』をようやく読みました。大掃除もそっちのけで。(毎年そっちのけだろーってい…
で、前回の続きで、神戸市立外大の公開講座のあとは、灘の古本屋ワールドエンズガーデンでの朗読会へ。 柴田さんの朗読はこれまでも何回か聞いたことがあるけれど、今回はクラヴィコード&サックスの内田輝さんと一緒なので、音楽つきってどんな感じなんだろ…
さて、10月の枚方蔦屋書店での柴田元幸さんのトークイベントで、「レベッカ・ブラウンとの朗読会に参加できなくて残念だった」とお話ししたと書きましたが、それからすぐに、「柴田元幸×内田輝/レベッカ・ブラウン『かつらの合っていない女』刊行記念ツアー…
この女が問題にしてもらいたがっているほど、わたしはこの女を問題にしていない。そもそもこの女を全面的に信用してはいないのだ。女の美しい肉体には二つの人格が交互に現れるようだった。一つは感受性の強い、しかも無邪気な性格。もう一つは、かたくなで…
この若い犬をご覧。血のように赤い石のそばにじっと佇み、体を休めている。四肢をすっくと伸ばし、胸を張り、頭を高く掲げて。 さて、今年のベストといえるもう1冊の犬本は、2017年のミステリーランキングにもよく挙げられている『その犬の歩むところ』です…
二十代がまさに終わる日の夜、新しくやってきた子犬を腕に抱いたとき、ぼくは泣き崩れた。愛を感じたからだ。愛みたいなものじゃない。ちょっとした愛でもない。限界なんかなかった。ぼくは出会ってからたった九時間の生き物に、ありったけの愛を感じていた…
演技するうえで最初に学ぶべき大切なことは、観客の心を読むことだ。どんな自分を期待されているのか察知して、そのとおりにする。 翻訳ミステリー大賞シンジケートのサイトでの、「シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』であり、ローレン・ワイズバーガーの…
フィルムアート社の読者モニター募集に申し込み、この『わたしの名前は「本」』を読ませてもらいました。 わたしの名前は「本」 作者: ジョン・アガード,ニール・パッカー,金原瑞人 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2017/11/25 メディア: 単行本 …
『母がしんどい』『呪詛抜きダイエット』などを描いている、田房永子さんによる清水アキラ親子についての考察がおもしろかった。(リンク先のLove Piece Clubは18禁サイトかと思うので、念のためご注意を) www.lovepiececlub.com 「小学生みたい、それか昭…
さて、前回は欧米の歴史についての本を紹介したけれど、やはり日本とアジアについての歴史も忘れちゃいかんと、日本の近過去を扱った『1980年代』も読んでみました。 1980年代 (河出ブックス) 作者: 斎藤美奈子,成田龍一 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売…
先日のノーベル文学賞に続き、ブッカー賞も発表になりましたね。日本でもすでに何冊か訳されている、ジョージ・ソーンダーズの『Lincoln in the Bardo』が受賞したとのこと。 Lincoln in the Bardo: A Novel 作者: George Saunders 出版社/メーカー: Random …
10月15日、『MONKEY vol13 食の一ダース 考える糧』発売記念として、枚方の蔦屋書店で行われた、柴田元幸さんのトーク&朗読会に参加しました。 MONKEY vol.13 食の一ダース 考える糧 作者: 柴田元幸,リオノーラ・キャリントン,堀江敏幸,西加奈子,戌井昭人,…
さて、カズオ・イシグロのノーベル文学賞受賞、たいへん盛りあがりましたね。 日本でこんなに人気のある(数少ない)海外の作家が受賞するとは、たしかにめでたい。 しかし実は、少し前に『忘れられた巨人』を読んだけれど、正直なところ、いまいち話に入り…
そういえば綾部はどうしているんだろう……?? 火花 (文春文庫) 作者: 又吉直樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (20件) を見る 前回書いた「なりたいボーイ」の映画のときに、ちょうど最近読んだ(いまさ…
前にもここで書いた『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』の映画を見に行きました。 tamioboy-kuruwasegirl.jp まあ、話は原作とほとんど同じなのだけど……というか、原作と同じというより、そのまんま題名通りの話。なので、ネタバレ…
夜、寝るときには、レインはわたしの毛布にもぐりこんでくる。夜中に目がさめると、レインがわたしにのしかかっていて、レインの顔がわたしの首の上にある。レインの息はドッグフードみたいなにおいがする。 犬猫シリーズにまた新たな一冊が加わった。 レイ…
問題はおれがすぐに女に惚れてしまい、商売を商売として見られなくなるということだ。 去年の翻訳ミステリー大賞および読者賞を受賞した『その雪と血を』。 その雪と血を (ハヤカワ・ミステリ) 作者: ジョーネスボ 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/1…
自由にのびのびと文章を書きたい、そう思ったことのある人は多いのではないでしょうか? 思ったことや感じたことを、素直に綴りたい。あるいは、そんな文章を読んで、自分の心にも素直な感動をよみがえらせたい、と。 この『外国の本っておもしろい!』を読…
さて、前回の『旅はワン連れ』では、片野家(高野家)の犬連れタイ旅行が描かれていましたが、”お父さん”である高野秀行さんは、納豆のルーツを探るという取材も兼ねていたようです。 謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉 作者: 高野秀行 出版社/…
さて、前回から気を取り直すために(?)、続けて読んだ犬本は、片野ゆか『旅はワン連れ』。 旅はワン連れ 作者: 片野ゆか 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2014/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る タイトルのとおり、ワンコを連れて旅…
ティモレオン・ヴィエッタは犬のなかで最高の種、雑種犬だ。 さらに、ティモレオン・ヴィエッタには際立った特徴があった。普通の犬には見られない特徴、たまたま親切な家庭に迷いこんできただけの野良犬とは一線を画する特徴が。ティモレオン・ヴィエッタは…
ナウシカ、ラピュタ、トトロで自分の中のジブリ映画が止まってしまっているし(紅の豚も魔女の宅急便も見たはずだけど、あまり覚えていない)、『君の名は』など最近のアニメも見ていないため、、ジブリやアニメについて語る資格はないのですが、この『メア…
サミュエル・スペードの角張った長い顎の先端は尖ったV字をつくっている。…… 見てくれのいい金髪の悪魔といったところだ。 さて、今更ながらですが、ハードボイルドの金字塔『マルタの鷹』を読んでみました。 マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ…
マーシャルの件を頼める相手はほかにもいますが、確実にやってもらいたいですから。マーシャルには生きていてもらいたくない。これは大事な問題です。 なんだか前回の続きのようですが、また黒原さんの訳書『アメリカン・ブラッド』を読みました。 アメリカ…
さて、前回書いたように、今号の『MONKEY』が翻訳特集でしたが、フリーペーパー『BOOKMARK』の最新号も「やっぱり新訳!」と、翻訳のなかでも新訳に絞った特集でした。 「翻訳は新しい方がいい」というのは、すべての新訳に言えるのかどうかはわからないです…
"You in love with him?""I thought I was in love with you.""It was a cry in the night," I said. 村上訳「彼に恋しているのか?」「私はあなたに恋していたつもりだったんだけど」「そいつは夜の求めの声だったのさ」と私は言った。 柴田訳「あいつに恋…
前回の続きですが、これからの女子が生きるにはどうしたらよいか?? というと、なんだかオーバーですが、多少なりのヒントを求めて、群ようこ『れんげ荘』を読んでみました。 れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3) 作者: 群ようこ 出版社/メーカー: 角川春樹事務所…
それにしても、恐ろしいですね、あの豊田議員の怒声。いや、精神衛生に悪そうなんであの怒声は聞いていないのですが、記事を読むだけでめちゃ恐ろしいのはわかる。 それにしても「桜蔭中・桜蔭高、東大法学部を経て、97年、厚生省入省。ハーバード大大学院…
前回は、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」で、さまざまな人が選んだ「私の三冊」を紹介しましたが、となると、「『私の』三冊」も選んでみたくなるのが人情。で、私が選んだ三冊はというと―― まず思い浮かんだのが『対訳 …
たまたま書店でもらった、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」が結構おもしろかった。 タイトル通り、さまざまな人が岩波文庫から三冊取りあげ、その理由や簡単な紹介を書いているだけなのだけど、なんといっても岩波文庫の…