快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

サバービアで生きる女たち――『キャロル』(パトリシア・ハイスミス)@読書会に行ってきました 

さて週末は、前にもここで紹介した『キャロル』の読書会に行ってきました。 訳者の柿沼瑛子先生をはじめ『キャロル』の映画を5回以上見たという方も何人かいらっしゃって、みなさんの愛と熱意があふれる会になりました。 柿沼先生はゲストとして参加してくれ…

「もう遅いねや」 ーー 『テス』 『萎えた腕』 トマス・ハーディ

前回のハイスミス『見知らぬ乗客』のところで、「ミソジニー」という表現を使ったので、念のため、「ミソジニー」という言葉をGoogle検索してみると、『バクマン。』が取りざたされていておどろいた。 映画はおもしろく見たけれど、原作はかなり偏っているの…

ハイスミス印の執着・狂気・破滅に陥る主人公たち 『見知らぬ乗客』 パトリシア・ハイスミス

少し前に書いたとおり、ハイスミスの『キャロル』を読み、恋をすることでたくましい大人の女性になる主人公の姿に感銘を受け、こんなことが成り立つのは、社会通念から解放された同性同士の恋愛であることも関係しているのだろうか、と考えた。 そしてもうす…

この恐怖を他人事に思えますか? 『YOU』  キャロライン・ケプネス

ニューヨークのブルックリンに住み、ロウワー・イーストサイドの書店で働くジョーのもとに、作家志望の女子学生ベックが、スポルディング・グレイとポーラ・フォックスの本を買いにやって来る。ベックこと「きみ」は、ポーラ・フォックスについてこう語る。 …

オトコとオンナの宿題はいつまでたっても山積みのまま? 『降ります―さよならオンナの宿題』 中村和恵

『あさが来た』も、終わってしまいました。けどやはり、最終的には夫婦愛が強調されることを思うと、『カーネーション』はやはり異色作だったんだなと感じる。それにしても、大森美香さんの脚本は『きみはペット』もそうだったけど、働く女性を見守る男を描…