快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

自分が三人いればいいのに(本読み用と遊び用と仕事用と)ーー 「BRUTUS」でも小説特集

 「BRUTUS」でも小説特集やってるな…と気になりつつ、先日「SPUR」の小説特集を買ったとこだしなーとスルーしてたけど、高野秀行さんがこの特集で“辺境小説”を紹介したとブログに書かれたので、あわててジュンク堂に行ってバックナンバーを買ってきた。 

BRUTUS (ブルータス) 2016年 1/1・1/15合併号 [雑誌]

BRUTUS (ブルータス) 2016年 1/1・1/15合併号 [雑誌]

 

  高野さんもブログで書いているとおり、“辺境小説”といっても、ノーベル賞作家のオルハン・パムクガルシア・マルケスといった、比較的メジャーなラインナップを紹介されています。(詳細はブログを読んで頂きたいですが、要は、メジャーな作家でないとすぐに絶版&入手不可能になるため) 私も前に書いたコリン・コッタリルのシリ先生や、BOOKMARKでも紹介されていた『郊外少年マリク』なども。

 なかでも、私がとくに興味をひかれたのは、ナイジェリアのエイモス・チュツオーラによる『やし酒飲み』でした。 

やし酒飲み (岩波文庫)

やし酒飲み (岩波文庫)

 

  やし酒が大好きな主人公が、死んだやし酒作りの名人を探して旅をして、ヘンなことに次々遭遇するというアフリカのマジック・リアリズム小説らしい。やはりアフリカは奥が深い。千原せいじのアフリカ旅を見ててもマジック・リアリズム感があるのに、幻想小説なんて、いったいどんなことになっているのだろうか。
 あと、アルゼンチンのミステリー『ブエノスアイレスに消えた』を紹介されているが、南米ミステリーというと、少し前に読んだ『ネルーダ事件』を思い出した。おもしろかったけど、ネルーダの縁者に怒られたりはしないのだろうかと心配になったのだった。

ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

ネルーダ事件 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

 

  そして、なんと来週21日(木)のクレイジージャーニーに高野さんが出るらしい。意外にもなのか、満を持してなのか、いまいちよくわからないが録画しないと。


 高野さん以外にもいろいろな人が本を紹介されていますが、誠光社書店の堀部篤史さん(元恵文社でおなじみの)の「ポスト変格ミステリー」というラインナップもおもしろかった。「ポートピア連続殺人事件」あったな~。いや、それはどうでもいいのですが、『シンデレラの罠』かなり読んでみたくなった。探偵であり、証人であり、被害者であり、犯罪者である「私」をめぐるミステリーらしい。探偵であり犯罪者、とか、被害者であり犯罪者のミステリーは私でもいくつか思いつくが、この4つを兼ねるとは聞いたことがない。 

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

シンデレラの罠【新訳版】 (創元推理文庫)

 

  おまけに『おれの中の殺し屋』も紹介されている! そうそう、去年翻訳ミステリーシンジケートの「必読!ミステリー塾」で紹介されているのを読んで、めちゃおもしろそうだから読まないと、と思っていたのでした。憑かれたように殺人を重ねる男の話らしい。楽しそうですね。


 あと、頼まれてもいないのに有名人に勝手に本をすすめるコーナーもあり、私なら何にするかとあれこれ考えてしまった。高田純次に紹介したいご近所小説は、金井美恵子の『タマや』がいいかな……いや、この本は「猫小説」のカテゴリの方がいいかな。 

タマや (河出文庫)

タマや (河出文庫)

 

  福山雅治にすすめる夫婦小説……田辺聖子のカモカのおっちゃんシリーズとか? そのまんま過ぎるかな、というか、心温まる夫婦小説なんてあったっけ? うっかり『ゴーン・ガール』とかすすめてしまいそうだ。
 「『孤独のグルメ』の原作者・久住昌之さんを連れて一杯やりたい酒場が登場する、傑作酒場小説」……これも『ロング・グッドバイ』とかベタ過ぎるな。。うーん、我ながら他人に本をすすめるセンスに乏しい気がする。まだそのレベルに達していないようだ。精進します。