はじめての海外文学――そしてジェイムズ・エルロイ 『獣どもの街』(田村義進訳)
読書ブログをやっておきながら、なかなか落ち着いて本を読めない事態になってしまった。
原因はこの子↓ 会社の人が保護した子猫を引き取ることにしたのです。
まだ生まれて二か月も経っていないため、長く留守番させるのも不安で、ここ数日はなる早で家に帰っているのですが、今日は午後休を取って、映画『インフェルノ』を見てきました。
トム・ハンクスがちょいちょい細川たかしに見えたのが気になったが(髪型のせいもあるのだろうか)、原作でちょっと強引な展開に思えたところや、えっ、これで終わるの? など違和感を感じたところを、うまく処理してあったのではないでしょうか。また原作もそうですが、とにかくスピード感のあるストーリー展開なので、まったく退屈する間もなく、どんどん話が進んでいくので、原作を読んでない人でも楽しめると思います。
しかし、いま映画『インフェルノ』のウィキペディアを見て、天才科学者ゾブリストを演じたベン・フォスターが、14歳年上のロビン・ライトと婚約していたという事実におどろいた。ロビン・ライトって、そう、ショーン・ペンの元嫁です。こりゃまたえらいとこにいくねんな~という感じだ。
で、そのあとはグランフロントの紀伊國屋に行って、「はじめての海外文学」のフリーペーパーを入手しました。「ビギナー篇」と「ちょっと背伸び篇」の両方。
で、「ビギナー篇」で紹介されていたので知りましたが、こないだ書いた、今年度の
ブッカー賞インターナショナル部門を受賞した、韓国のハン・ガンの『菜食主義者』、とっくに翻訳本出ていたようです。そりゃそうか。
- 作者: ハン・ガン,川口恵子,きむふな
- 出版社/メーカー: cuon
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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翻訳のきむふなさんのコメントによると、「ごく平凡なはずの妻が、あるひ突然肉食を、そしてついには食べること自体を拒み植物になりたがる」という話らしい。やはりおもしろそう。
しかし、この本にしても、岸本佐知子さん推薦の『ハルムスの世界』にしても、海外文学のビギナーにおすすめできるのかは少々謎ですが。ちなみに、私はこの「ビギナー篇」では、前にも紹介したジョーン・バウアーの『靴を売るシンデレラ』をおすすめしたい。
「ちょっと背伸び篇」では、柴田元幸さんが創元推理文庫の『フランケンシュタイン』を推薦していたので、読んでみたくなった。
「フェミニズムの創始者、あるいは先駆者とも呼ばれるメアリー・ウルストンクラフトを母、無神論者でアナキズムの先駆者であるウィリアム・ゴドウィンを父として生まれた」(ウィキペディアより)作者メアリー・シェリーについては、以前から気になっていたので。いろんなところから出ているけど、なかでもこの版がおすすめらしい。
ちなみに、私が「ちょっと背伸び篇」を選ぶとしたら、ここには載っていませんが、いまちょうど読んでいるジェイムズ・エルロイ『獣どもの街』にしたい。
- 作者: ジェイムズエルロイ,James Ellroy,田村義進
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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変態性欲の辺土。性欲はイエス。変態もいっそのことイエス。
変態性欲が変化をもたらした。死屍累々のシーンに刺激されたのだろう。きわどい危機がきっかけとなったのだろう。
戻ってきた猛烈女。撃ちあいによって生まれた運命。時を飛び越え、記憶を刻もう。
服を振りはらい、ズボンをずりさげる。火勢は下降し、薄暗がりが生まれている。記憶が強化される。ドナの身体を思い出す。唇をくっつける。
といった具合で、可能なかぎり原文にあわせて頭韻をふんだこの文体。頭韻や言葉遊びといった文体の妄執が、主人公リックのドナへの妄執と重なる。
リックはドナを愛している。
純愛、それはつまりオブセッション。こんなに凝った翻訳文をあみだす労力を考えるとおそろしいが、それもまた純愛でありオブセッションなんでしょう。