和書
先日『元年春之祭』を課題本にして翻訳ミステリー読書会を開催し、そのレポートがこちらのサイトに掲載されました。 元年春之祭 (ハヤカワ・ミステリ) 作者: 陸秋槎,稲村文吾 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2018/09/05 メディア: 新書 この商品を含むブ…
3月24日に隆祥館書店で行われた、『AERA』元編集長であり、現Business Insider Japan統括編集長の浜田敬子さんによる、『働く女子と罪悪感』出版記念トークイベントに参加してきました。 働く女子と罪悪感: 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽し…
福知山線脱線事故の日のことは、いまでもよく覚えている。2005年4月25日、私もJRに乗って神戸に向かおうとしていたからだ。 その日は神戸国際会館でのスピッツのライブに行こうと、有休をとっていた。午前中からテレビを見ていると、突然画面が切り替わり、…
さて、本日(3月9日)の『元年春之祭』読書会に備えて、「女と女の小説」に浸っていた今日この頃でした。 このブログでも何度か引用している、松浦理英子の『ナチュラル・ウーマン』から、サラ・ウォーターズの『半身』に、ジャネット・ウィンターソンの『オ…
さて、最近読んだ本をさくっと数点紹介したいと思います。 (いや、ここ最近、1つのトピックで長々書いてしまいがちなので、そんなに長く書いたら、もともとその話題に興味あるひと以外誰も読まないぞー!というのは承知しているので、今年は短い紹介記事も…
さて、前回の『アメリカ死にかけ物語』で、「ヨーロッパも同じか、あるいはもっと深刻」と書いたけれど、そのヨーロッパを詳細に伝えているのが、ブレイディみかこの『ヨーロッパ・コーリング』だ。 ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポ…
さて、遅ればせながら、文庫になった『コンビニ人間』を読みました。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2018/09/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 主人公の古倉恵子36歳は、「少し奇妙がら…
みなさんご存知のとおり、ここ最近、地震や大雨、そして台風のくり返しで、訃報も相次ぎました。(樹木希林も『万引き家族』見たところなのでおどろいたが、やはり子どもの頃から読んでいた、さくらももこの衝撃が大きかった……) ほんと人生いつなにが起きる…
さて、『世界の辺境とハードボイルド室町時代』(さんざんネタになっているが、もう元ネタがいったい何なのかわからなくなっている)に続く、高野秀行&清水克行の対談本第2弾、『辺境の怪書、歴史の驚書、ハードボイルド読書合戦』を読みました。 辺境の怪…
このひとがいま生きていたなら、どう言っただろう? と、ふとした瞬間に考えさせられるひとたちがいる。 前回取りあげたヴォネガットや、最近またベスト本が出るらしいナンシー関など。 そして、雨宮まみもたしかにそのひとりだなと、岸政彦との対談本『愛と…
月曜日、古川橋駅で京阪電車がいきなり止まった。車内灯が消え、エアコンも止まる。 停電したので、各車両の一番後ろの窓を手動で開けてくださいと車掌からのアナウンスが流れた。乗客が職場に電話をしはじめる。私も電話をして、ランチミーティングのお弁当…
最近ちょいちょいスマホでラジオをつけていて、なかでもNHKの「すっぴん!」の月曜(宮沢章夫)と金曜(高橋源一郎)をよく聞いています。(それにしても、ほかの曜日はユージに麒麟の川島君、そしてダイアモンド☆ユカイと、いったいどういう基準でパーソナ…
どうして私たちは木嶋佳苗に注目してしまうのだろう? 木嶋佳苗をめぐる事件は、まるでプリズムのようにさまざまな角度から語ることができる。援助交際、性の売買、婚活、女の容姿、「家庭的」な女、父と娘、母と娘、地方と東京、セレブ志向…… 柚木麻子の『B…
さて、4連休もどこに行くわけでもなく、ゴキブリみたいに家にへばりついていたら、あっという間に終了しました。やったことといえば、録りだめしておいた山本文緒原作のドラマ『あなたには帰る家がある』を見ながら、掃除らしきことをした程度。 #1 夫婦の…
さて前回、第四回日本翻訳大賞が決まったと書きましたが、第一回読者賞を受賞した『ストーナー』の翻訳家、東江一紀のエッセイ『ねみみにみみず』を読み、ほんと翻訳家はエッセイがうまいひとが多い、とつくづく思った。 ねみみにみみず 作者: 東江一紀,越前…
さて、第四回日本翻訳大賞が『殺人者の記憶法』と『人形』に決まりました。『殺人者の記憶法』は前にも紹介したように、原作も映画もおもしろかったので納得。 『人形』はポーランドで人気の小説らしいが、手をつけるにはかなり気合のいる長さのよう。いや、…
手元にないのでうろ覚えだが(実家にあるはず)、学生時代に読んだエッセイ『佐藤君と柴田君』で、親が古びてきたので病院に通っていると柴田さんが書いていて、そのとき「そうか、親って古びるものなんだ」と思った記憶がある。 佐藤君と柴田君 (新潮文庫) …
妹が突然電話してきたのは三日前だった。しばらく会いたくないし声も聞きたくないから連絡しないでくれ、とはっきり言われたのは、ここに越して来る前のことなので何年も前だ。仕方ないことだと納得した私は、それから転居通知をポストに入れただけでまった…
あのときああしてさえいれば、ちがう人生になっていたかも―― あのときああしてさえいれば、ちがうひとと寄り添っていたのかも―― なんて思ったりすることはあるでしょうか? いや、「やれたかも委員会」の話ではなく、佐藤正午の『鳩の撃退法』を読むまえに、…
猫と出会ってこそ人間になった。人が家族のために頑張ることを理解し、人間がひとつ屋根の下で眠る事さえも、単なる不可解、不気味とは思わなくなった。猫といてこそ緊張があり、欲望が湧き、しかも常に夢中でなおかつ、闘争の根拠、実体を得た。 という前書…
年末に原作を読み、どうしても ↑ の疑問がわいてきたので、年明けも公開しているところを探したら、塚口サンサン劇場で期間限定上映をしていたので行ってきました。 塚口サンサン劇場に行くのははじめてでしたが、ミニシアターといっても、十三の第七藝術劇…
お題「年末年始に見たもの・読んだもの」 さて、きょうは大晦日。 というわけで、なんとしてでもこれを読まないと年を越せん!! と思っていた、松浦理英子の新刊『最愛の子ども』をようやく読みました。大掃除もそっちのけで。(毎年そっちのけだろーってい…
さて、前回は欧米の歴史についての本を紹介したけれど、やはり日本とアジアについての歴史も忘れちゃいかんと、日本の近過去を扱った『1980年代』も読んでみました。 1980年代 (河出ブックス) 作者: 斎藤美奈子,成田龍一 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売…
そういえば綾部はどうしているんだろう……?? 火花 (文春文庫) 作者: 又吉直樹 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/02/10 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (20件) を見る 前回書いた「なりたいボーイ」の映画のときに、ちょうど最近読んだ(いまさ…
さて、前回の『旅はワン連れ』では、片野家(高野家)の犬連れタイ旅行が描かれていましたが、”お父さん”である高野秀行さんは、納豆のルーツを探るという取材も兼ねていたようです。 謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉 作者: 高野秀行 出版社/…
さて、前回から気を取り直すために(?)、続けて読んだ犬本は、片野ゆか『旅はワン連れ』。 旅はワン連れ 作者: 片野ゆか 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2014/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る タイトルのとおり、ワンコを連れて旅…
前回の続きですが、これからの女子が生きるにはどうしたらよいか?? というと、なんだかオーバーですが、多少なりのヒントを求めて、群ようこ『れんげ荘』を読んでみました。 れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3) 作者: 群ようこ 出版社/メーカー: 角川春樹事務所…
それにしても、恐ろしいですね、あの豊田議員の怒声。いや、精神衛生に悪そうなんであの怒声は聞いていないのですが、記事を読むだけでめちゃ恐ろしいのはわかる。 それにしても「桜蔭中・桜蔭高、東大法学部を経て、97年、厚生省入省。ハーバード大大学院…
前回は、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」で、さまざまな人が選んだ「私の三冊」を紹介しましたが、となると、「『私の』三冊」も選んでみたくなるのが人情。で、私が選んだ三冊はというと―― まず思い浮かんだのが『対訳 …
たまたま書店でもらった、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」が結構おもしろかった。 タイトル通り、さまざまな人が岩波文庫から三冊取りあげ、その理由や簡単な紹介を書いているだけなのだけど、なんといっても岩波文庫の…