快適読書生活  

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」――なので日記代わりの本の記録を書いてみることにしました

和書

納豆は日本にしかないって? なわきゃない 『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』(高野秀行著)

さて、前回の『旅はワン連れ』では、片野家(高野家)の犬連れタイ旅行が描かれていましたが、”お父さん”である高野秀行さんは、納豆のルーツを探るという取材も兼ねていたようです。 謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉 作者: 高野秀行 出版社/…

旅する犬の物語② ビビリ犬マドのタイ旅行記『旅はワン連れ』(片野ゆか)

さて、前回から気を取り直すために(?)、続けて読んだ犬本は、片野ゆか『旅はワン連れ』。 旅はワン連れ 作者: 片野ゆか 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2014/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る タイトルのとおり、ワンコを連れて旅…

これが私の生きる道??? 『れんげ荘』(群ようこ)

前回の続きですが、これからの女子が生きるにはどうしたらよいか?? というと、なんだかオーバーですが、多少なりのヒントを求めて、群ようこ『れんげ荘』を読んでみました。 れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3) 作者: 群ようこ 出版社/メーカー: 角川春樹事務所…

エリート女性を取り囲むグロテスクな状況 『高学歴女子の貧困』~『グロテスク』(桐野夏生)

それにしても、恐ろしいですね、あの豊田議員の怒声。いや、精神衛生に悪そうなんであの怒声は聞いていないのですが、記事を読むだけでめちゃ恐ろしいのはわかる。 それにしても「桜蔭中・桜蔭高、東大法学部を経て、97年、厚生省入省。ハーバード大大学院…

続・最強のブックガイド 「私が」選ぶ岩波文庫の三冊 『対訳 ディキンソン詩集』『マイケル・K』『冥途・旅順入場式』

前回は、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」で、さまざまな人が選んだ「私の三冊」を紹介しましたが、となると、「『私の』三冊」も選んでみたくなるのが人情。で、私が選んだ三冊はというと―― まず思い浮かんだのが『対訳 …

最強のブックガイド 岩波書店のPR誌『図書』「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」

たまたま書店でもらった、岩波書店のPR誌『図書』の臨時増刊「岩波文庫創刊90年記念 私の三冊」が結構おもしろかった。 タイトル通り、さまざまな人が岩波文庫から三冊取りあげ、その理由や簡単な紹介を書いているだけなのだけど、なんといっても岩波文庫の…

400年前のキリシタン弾圧と私たちとのつながり 『みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記』(星野博美)

ノンフィクションにとくに詳しいわけではないけれど、高野秀行さんと星野博美さんの作品は新作が出るとつい読んでしまう。このふたりの作品に共通していることは、最初はごくごく個人的な興味からはじまり、そしてそれをどこまでも追求し、海外や辺境地まで…

中心のない機械になれ 『村に火をつけ、白痴になれ――伊藤野枝伝』栗原康

まわりから、女はこうあるべきだ、おとなしくしろとかいわれていると、ほんとうはちがうとおもっていても、ついついそうふるまってしまう。しかも、それができてほめられると、なんだかうれしくなってやっぱりまたしたがってしまう。 まわりにほめられるよう…

女が強くなるとき――『ナオミとカナコ』(奥田英朗)

「あなたの親は、とうして離婚しないのですか?」朱美が不思議そうに聞く。「さあ……」直美は首を傾げつつ、「たぶん、母に一人で生きて行く自信がないからだと思います」と答えた。「日本の女の人、みんなやさし過ぎるのことですね。前にも言いましたが、上…

人生も半ばを過ぎて――『いつか春の日のどっかの町へ』(『FOK46』改題)大槻ケンヂ

高野秀行さんがツイッターでオススメしていたので、私もひさびさに大槻ケンヂことオーケンのエッセイを読んでみた。 いつか春の日のどっかの町へ (角川文庫) 作者: 大槻ケンヂ 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2017/02/25 メディア: Kindle版 …

春の夜はなんだか怖い? BOOKMARK 7号と『真昼なのに昏い部屋』(江國香織)

さて、今回のBOOKMARKは「眠れない夜へ、ようこそ」。ホラー特集。といっても、ホラーというと四谷怪談くらいしか思いつかなかったので、いったいどんな本が取り上げられるのか想像つかなかったが、ホラー仕立てのミステリーなどおもしろそうな作品がいっぱ…

神は雑多に宿る――『村上春樹 雑文集』

アマゾンで『騎士団長殺し』を検索したら、いま超話題の『夫の……が入らない』が出てきておどろいた。いや、『騎士団長殺し』を買っている人は、その商品も「ご覧になっている」そうです。 で、ひさしぶりに『雑文集』を読み返してみた。 村上春樹 雑文集 (新…

圧倒的な孤独を描いた短編集 『レキシントンの幽霊』(村上春樹)

さっきロンハー見てたら、ジャルジャルの福徳の部屋にブタの貯金箱が置いてあって、前回の『コドモノセカイ』のエドガル・ケレットの作品を思い出してしまった。 いや、それはともかく、村上春樹の新作『騎士団長殺し』って、最初は冗談かと思った。虚構新聞…

あたらしい年にむけて―― 『女子をこじらせて』(雨宮まみ)

2016年、一番おどろいたことと言えば、雨宮まみさんの訃報だった。 『女子をこじらせて』が単行本で出て、話題になっていたときにさっそく読んでみて、同世代のせいか、ロッキン・オン社の出版物を(真剣に…)読んでいたとか、通ってきたものが共通していて…

あたらしい年に向けて、あたらしい働きかた――『わたしらしく働く!』 (服部みれい)

さて、なんだかんだしているうちに、すっかり年末。『シン・ゴジラ』も『君の名は。』も『この世界の片隅に』も、そして、”逃げ恥”の最終回も録画しているものの、まだ見ておらず、2016年の人気作にまったくついていけませんが、とりあえず今年印象に残った…

結婚にまつわる洞察が綴られる――現代の『高慢と偏見』? 橋本治 『結婚』

橋本治の『結婚』は、28歳の主人公倫子が、同僚の27歳の花蓮に「卵子劣化」の話を切り出すところからはじまる。 結婚 作者: 橋本治 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2014/07/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る いや、ここ最近政府があ…

虫料理か…『SWITCHインタビュー達人達 枝元なほみ×高野秀行』~『異国トーキョー漂流記』

週末に東京に行き、そして帰ってきて、録画しておいたNHK『SWITCHインタビュー達人達 枝元なほみ×高野秀行』を見た。すると、時折高野さんのエッセイにも登場するおなじみのミャンマー料理店からはじまり、「しまった!東京で行けばよかった!」と…

「ほんとうのこと」が知りたいだけなのだ 辺境中毒!(高野秀行)

さて、前回紹介した内澤旬子さんといえば、高野秀行さんの『辺境中毒!』で対談しています。 辺境中毒! (集英社文庫) 作者: 高野秀行 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2011/10/20 メディア: 文庫 クリック: 5回 この商品を含むブログ (7件) を見る その対談…

捨て暮らし、そして離島への移住へ 『捨てる女』 『漂うままに島に着き』(内澤旬子)

こんなごみごみしたところで、せかせか暮らすのは止めて、田舎にでも行ってゆっくりしたいな……とふと考える瞬間がある。 いや、まあ誰にでもあると思うのですが、私の場合は、車の運転もできないし、体力も自信がないし、とにかく虫が部屋のなかに入ってくる…

恋愛→セックス→出産のグロテスクさ 『殺人出産』(村田沙耶香)

「私たちの世代がまだ子供のころ、私たちは間違った世界の中で暮らしていましたよね。殺人は悪とされていた。殺意を持つことすら、狂気のように、ヒステリックに扱われていた。昔の私は、自分のことを責めてばかりいました。何度命を絶とうとしたか知れませ…

愛について真面目に考える時間 『あとは死ぬだけ』 (中村うさぎ)

前回『結婚失格』について書いたあと、検索してみたところ、この『結婚失格』発売記念イベントで、町山智浩が枡野浩一に行った公開説教がレポされているエントリを見つけた。 d.hatena.ne.jp 町山さんの一言一言、まさにその通り!とひれ伏したくなるが、と…

成長するってことーー 『結婚失格』(枡野浩一) そしてサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』

私もすこしは大人になったのかなと、あらためて『結婚失格』を読んで感じた。 結婚失格 (講談社文庫) 作者: 枡野浩一 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2010/07/15 メディア: 文庫 購入: 23人 クリック: 767回 この商品を含むブログ (33件) を見る というの…

『暮らしの手帖』最新号、そして『断片的なものの社会学』(岸政彦)

なんだかんだ言いながら、「とと姉ちゃん」を見ているので、創刊号の復刊版が付録についた、今月号の『暮らしの手帖』も買ってしまった。 暮しの手帖 4世紀83号 出版社/メーカー: 暮しの手帖社 発売日: 2016/07/25 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る…

愛がつまった罐詰のような一冊 『孤独な夜のココア』 田辺聖子

あの恋は、私の心の中では、愛の罐詰にされていた。しかし、それは、空気の罐詰といっしょで、あけてみても、何も見えず、何の音もしないものかもしれなかった。ただ何かが詰っている。そしてそれは罐詰になっている、ということしか、わからないのだった。 …

もしかして、この国は沈没しつつある? 『ニッポン沈没』 斎藤美奈子

今月号の筑摩書房のPR誌『ちくま』を読んでいると、斎藤美奈子の「世の中ラボ」が参院選を取りあげていて、 安倍政治はもうたくさん。私も野党側に勝ってほしいと切に願っている。なんだけど、ほんとに勝てるかとなると「今度もダメなんちゃう?」という疑念…

いとうせいこう&奥泉光 文芸漫談ー夏目漱石『坑夫』

いままでの人生でもはじめてかと思うくらい、濃密な週末を過ごしました。まず、土曜は羽田空港を降りて、そのまま横浜に直行。ではなく(お昼食べたけど)神奈川近代文学館で、いとうせいこうと奥泉光の文芸漫談を聞いてきました。テーマは夏目漱石の『坑夫…

本の波にひきずりこまれていくー 『読んで、訳して、語り合う。 都甲幸治対談集』など

さて、前から(勝手に)考えている『多崎つくる』問題ですが、都甲幸治さんの対談集『読んで、訳して、語り合う』では、フランス文学者であり、村上春樹の研究本も出している芳川泰久(以下、すべて敬称略)との対談で、シロとクロという女はもとから存在せ…

オトコとオンナの宿題はいつまでたっても山積みのまま? 『降ります―さよならオンナの宿題』 中村和恵

『あさが来た』も、終わってしまいました。けどやはり、最終的には夫婦愛が強調されることを思うと、『カーネーション』はやはり異色作だったんだなと感じる。それにしても、大森美香さんの脚本は『きみはペット』もそうだったけど、働く女性を見守る男を描…

『生き延びるための世界文学』(都甲幸治)、そしてトークイベントに行って

さて、先日の日曜は、東京国際文芸フェスティバルのイベントの一環でamu KYOTOで行われた都甲幸治さんと江南亜美子さんのトークイベントに参加してきました。 今回のお話もまたどこかに収録されるかもしれないので、どこまで詳細を書いていいのかわからない…

翻訳小説という新しい愉しみへの誘い 『翻訳百景』  越前敏弥

もしこの世に翻訳小説がなかったら―― 外国の事物や風習、そこで暮らす人々の気持ちをどれだけ理解することができるだろうか? 文化や考え方の違いを理解したり、あるいは、どんなに環境が変わろうとも、人の気持ちはさほど変わらないことを実感することがで…